本記事では、米国高配当ETFとして有名なVYMの基本情報・株価・配当情報・特徴・おすすめの購入タイミングを紹介します。そして、VYMが配当金生活の投資先として向いているのかどうかを説明します。
よく耳にするVYMの特徴って何だろう?
基本情報
VYMの基本情報を次の表にまとめました。
名称 | バンガード・米国高配当株式ETF |
概要 | 高配当利回りを特徴とする企業の普通株の投資収益を測定する、FTSE高配当利回り指数のパフォーマンスを追跡することを目指している |
株価(2024年10月16日時点) | $131.31 |
配当額(2023年実績) | $3.478 |
配当利回り(※1) | 3.116% |
構成銘柄数(2024年9月3日時点) | 547銘柄 |
コアセクター | 金融・資本財・ヘルスケア |
経費率 | 0.06% |
設定日 | 2006/11/10 |
VYMはどのようなETFなのか?
VYMの名称は「バンガード・米国高配当株式ETF」といい、高配当利回りを特徴とする企業の普通株の投資収益を測定する指数のパフォーマンスを追跡することを目指しているETFです。このETFは米国株式市場のREITを除く約540銘柄の高配当株で構成されています。
株価は1株131.31ドル(2024年10月16日時点)です。日本円にすると1株およそ19,565円(1ドル=149円で計算)でやや高額で買いにくい価格です。配当額は3.478ドルで、配当利回りは3.116%(2023年実績)です。この配当利回りは高配当株の中では高くありません。
コアセクターは比率の上位から金融・資本財・ヘルスケアです。ヘルスケアはディフェンシブなセクターであり、安定した業績で、安定した配当を期待できます。一方、金融・資本財は景気によって業績が左右され、景気が悪いとVYMのパフォーマンスに大きく影響があるかもしれません。
一般にディフェンシブセクターが多いと安定性が増すけど配当利回りは低くなるワン!
株価情報
VYMの株価の情報を紹介します。VYMの設定日から2024年10月までの株価のチャートからVYMの株価がどのように動いているかを説明します。
VYMの株価は上昇しているのか?
次のチャートはETFが設定された2006年から2024年までのVYMの株価のチャートです。
VYMの株価は長期的に右肩上がりで上昇しています。しかし常に株価が上昇していたわけではなく、VYMはこれまでに2回株価が暴落しています。1回目は2008年のリーマンショックによる株価暴落です。この暴落から元の株価に戻るまでに4~5年かかっています。2回目は2020年のコロナショックです。この時は4年前の2016年頃の株価70ドル付近まで下落しました。しかし、1年後の2021年には暴落前の株価に戻っています。
このように、過去のデータでは株価が暴落しても数年後には必ず株価は回復し、その後上昇しています。
配当情報
VYMの直近5年間の配当はいくらか?増配しているか?
VYMの直近5年間(2019年~2023年)の配当額と前年比較の増配率をまとめました。
年 | 配当額 | 増配率 |
---|---|---|
2019 | $2.842 | 7.270% |
2020 | $2.906 | 2.263% |
2021 | $3.096 | 6.538% |
2022 | $3.252 | 5.029% |
2023 | $3.478 | 6.956% |
2019年以降は一度も減配しておらず、配当額の推移は右肩上がりで伸びています。毎年、おおよそ5~6%の増配率で配当額が増えています。2019年と2023年を比較するとおよそ22%増配しています。
他のETFが減配している時もVYMは増配していて頼もしいワン!
VYMの直近5年間の配当利回りはどれくらいか?
VYMの直近5年間(2019年~2023年)の配当利回りです。配当利回りは配当額をその年の終値で割って算出しています。
年 | 配当利回り |
---|---|
2019 | 3.033% |
2020 | 3.176% |
2021 | 2.762% |
2022 | 3.005% |
2023 | 3.116% |
直近5年間の配当利回りは2.762%~3.176%の範囲で推移しており、この期間の平均配当利回りは3.018%です。HDVやSPYDと比較すると配当利回りはやや低めです。
VYMのメリット
- 安定して高利回りの配当金を受け取れる
- 増配が期待できる
- 歴史がある
- 低コスト
安定して高利回りの配当金を受け取れる
これまで見てきたように、2019年から2023年の間は減配していません。むしろ増配し年々配当額は増えています。配当利回りの平均は3.018%でHDVやSPYDと比較すると配当利回りは低いです。しかし、VYMはHDVが減配した年であっても増配しており、VYMの方が配当金が安定しています。さらに、VYMは増配率が高いため、長期保有に適しています。
仮に、株価が$100で配当額が$3.5(配当利回り3.5%)で購入した株が毎年3%増配する場合、配当利回りがどうなるかを次の表にまとめました。
配当額 | 配当利回り | |
---|---|---|
0年後 | $3.50 | 3.50% |
1年後 | $3.61 | 3.61% |
2年後 | $3.71 | 3.71% |
3年後 | $3.82 | 3.82% |
4年後 | $3.94 | 3.94% |
5年後 | $4.06 | 4.06% |
3.50ドルだった配当金が1年後は3%増えて3.61ドルになります。2年後、3年後も同様に増えていき、5年後には配当利回りが4%を超えています。増配率が高ければ保有しているだけで配当金が増え、配当利回りが上昇します。
増配が期待できる
2012年から2023年のVYMの配当額推移です。
2012年から2023年まで常に右肩上がりです。2012年の配当金は$1.593で2023年は$3.478と12年間で配当金は倍以上になっています。2012年の年末株価は$49.38なので、当時購入していれば現在の配当利回りは7.043%と非常に高いです。
VYMの配当利回りは3%前後と低めですが、増配を繰り返して次第に配当利回りは上昇します。そのため、長期保有が前提の配当金生活に向いています。
歴史がある
VYMの設定日は2006年11月10日です。2024年でおよそ18年の歴史があります。歴史が長いということはそれだけ実績があることになります。SYPDは2024年で9年目ですがVYMは18年目で、SPYDの倍の歴史を持っています。
赤ちゃんが高校を卒業できるぐらいの歴史があるワン!
低コスト
VYMの経費率は0.06%と低コストです。例えば、100万円分のVYMを保有した場合、年間で600円の経費しかかかりません。
チロルチョコおよそ26個分だワン!
VYMのデメリット
- 成長性は望めない
- 為替リスクがある
- 日本の配当よりも多く課税される
成長性は望めない
これまで見てきたように、配当額は右肩上がりで、株価も上昇しています。しかし、米国経済をけん引しているGAFAMのような急速な成長性は望めず、キャピタルゲインは期待しないほうがいいでしょう。
為替リスクがある
HDVはドルで売買します。日本では円で生活しているため、円⇔ドルの取引が必要になり、為替リスクがあります。
円高になると、日本円で受け取れる配当額が減ります。例えば、配当金を100ドル受け取る場合を考えます。
1ドル | 配当額(円) |
---|---|
161.51 | 16151円 |
146.39 | 14639円 |
100ドルの配当金を受け取る際、1ドル161.51円では16151円ですが、1ドル146.39円では14639円です。この2つの差分は1512円と10%も受け取れる配当額が変化します。
日本の配当よりも多く課税される
日本株と比べて米国株の配当は税制面で不利です。米国株の配当金を受け取る際は2回課税されます。
- 配当金に対して、米国で10%が課税されます
- 1で差し引かれた後の金額に対して、日本で20.315%(所得税15.315%・住民税5%)が課税されます
合計すると、配当金に対して28.2835%が課税されます。
VYMのおすすめの購入タイミング
VYMのおすすめの購入タイミングはできるだけ早くです。この理由をVYMとHDV、SPYDの株価を比較して説明します。
VYM・HDV・SPYDの2015年以降の株価比較
次のチャートは2015年から2024年までのVYM・HDV・SPYDの株価の比較チャートです。青色の線がVYMで、赤色の線がHDV、紫色の線がSPYDの株価騰落率です。
VYMが+93.57%でHDVの+58.42%、SPYDの+52.77%を大きく差をつけてトップの株価騰落率です。この結果の理由の1つとして、VYMの高い増配率が考えられます。配当金が増えると配当利回りが上がります。しかし、直近5年間の配当利回りは3.0%付近で変化ありません。つまり、その分株価が上がっているということです。2020年のコロナショックの様な金融危機はおよそ10年に1度のサイクルで起きると言われていますが、次の金融危機がいつ起きるのかは誰もわかりません。もちろん割安なタイミングで購入できればベストですが、5年や10年待ってもそのタイミングは訪れず、株価がさらに上昇していつまでも購入できないという事態になりかねません。そのため、配当金が安定して増配しているVYMはできるだけ早く購入することをおすすめします。
まとめ
結論は、VYMで配当金生活は可能です。
VYMは長い歴史を持ち、配当金は増配を続けています。また、500銘柄以上に広く分散されており安定性が重要な配当金生活に向いています。HDVやSPYDと比べると配当利回りが低いですが、毎年増配しているため長期保有すれば問題ないでしょう。リターンが安定していて株価が上昇しているためVYMへの投資はタイミングを待たずにできるだけ早く投資を始めることをおすすめします。
VYMは配当利回りは低いけど超安定していることがわかったワン!