本記事では、米国高配当ETFとして有名なVIGの基本情報・株価・配当情報・特徴・おすすめの購入タイミングを紹介します。そして、VIGが配当金生活の投資先として向いているのかどうかを説明します。
VIGって何だろう?
基本情報
VIGの基本情報を次の表にまとめました。
名称 | バンガード・米国増配株式ETF |
概要 | 10年以上連続で増配している米国企業(配当利回り上位25%の企業を除く)に投資するS&P US Dividend Growers指数に連動することを目指している |
株価(2024年10月25日時点) | $196.89 |
配当額(2023年実績) | $3.2081 |
配当利回り(※1) | 1.882% |
構成銘柄数(2024年9月30日時点) | 338銘柄 |
コアセクター | 情報技術・金融・ヘルスケア |
経費率 | 0.06% |
設定日 | 2006/4/21 |
VIGはどのようなETFなのか?
VIGの名称は「バンガード・米国増配株式ETF」といい、10年以上連続で増配している米国企業(配当利回り上位25%の企業を除く)に投資するS&P US Dividend Growers指数に連動することを目指しているETFです。配当利回り上位25%の企業を除くことで、業績悪化などによる株価下落に伴って配当利回りが上昇した銘柄を除外できます。このETFは米国株式市場の338銘柄で構成されています。
株価は1株196.89ドル(2024年10月25日時点)です。日本円にすると1株およそ29,927円(1ドル=152円で計算)と高額で買いにくい価格です。配当額は3.2081ドルで、配当利回りは1.882%(2023年実績)です。この配当利回りは高配当株の中では高くありません。
コアセクターは比率の上位から情報技術・金融・ヘルスケアです。ヘルスケアはディフェンシブなセクターであり、安定した業績で、安定した配当を期待できます。一方、情報技術・金融は景気によって業績が左右され、景気が悪いとVIGのパフォーマンスに大きく影響があるかもしれません。
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株価情報
VIGの株価の情報を紹介します。VIGの設定日から2024年10月までの株価のチャートからVIGの株価がどのように動いているかを説明します。
VIGの株価は上昇しているのか?
次のチャートはETFが設定された2006年から2024年までのVIGの株価のチャートです。
VIGの株価は長期的に右肩上がりで上昇しています。2006年から2024年の18年間で株価が約4倍になっています。10年以上連続で増配している企業は長期間業績が成長している企業です。業績が伸びれば株価は上昇するため、VIGの株価は18年間で約4倍になっているのでしょう。
VIGはVYMと比べて株価上昇率は勝っているのか?
次のチャートは2006年から2024年までのVIGとVYMの株価騰落率のチャートです。
VYMの+153.41%の株価騰落率に対して、VIGの騰落率は+270.09%と+100%以上差をつけてVIGの方がVYMより株価が上昇しています。この理由は構成銘柄にあります。VIGはアップルやマイクロソフトなどの情報技術セクターの銘柄が多く含まれています。そのため、株価の成長が期待できえうETFになっています。このようにVIGはキャピタルゲインが期待できそうです。
配当情報
VIGの直近5年間の配当はいくらか?増配しているか?
VIGの直近5年間(2019年~2023年)の配当額と前年比較の増配率をまとめました。
年 | 配当額 | 増配率 |
---|---|---|
2019 | $2.134 | 4.72% |
2020 | $2.297 | 7.62% |
2021 | $2.660 | 15.83% |
2022 | $2.973 | 11.74% |
2023 | $3.208 | 7.93% |
2019年以降は一度も減配しておらず、配当額の推移は右肩上がりで伸びています。この期間の平均増配率は9.568%と高い増配率です。2019年と2023年を比較するとおよそ50.3%増配しています。
増配率の高さが光るワン!さすが連続増配企業を集めたETFだワン!
VIGの直近5年間の配当利回りはどれくらいか?
VIGの直近5年間(2019年~2023年)の配当利回りです。配当利回りは配当額をその年の終値で割って算出しています。
年 | 配当利回り |
---|---|
2019 | 1.71% |
2020 | 1.63% |
2021 | 1.55% |
2022 | 1.96% |
2023 | 1.88% |
直近5年間の配当利回りは1.55%~1.96%の範囲で推移しており、この期間の平均配当利回りは1.746%です。VIGは連続増配企業を集めたETFであって高配当利回りではありません。ですが、毎年減配はせずに配当を出しています。高利回りではありませんが安定した配当は期待できます。
VIGのメリット
- 増配が期待できる
- インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙える
- 歴史がある
- 低コスト
増配が期待できる
2012年から2023年のVIGの配当額推移です。
2012年から2023年まで長期的に右肩上がりです。2012年の配当金は$1.410で2023年は$3.208と12年間で配当金は倍以上になっています。特に2021年から2023年の3年間は大きく配当額が増加しています。一方、2021年以前までは同様に増配していますがその額は比較的少ないです。VIGは連続増配企業に投資していますが、増配率が常に高いわけではありません。
インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙える
VIGは情報技術セクターの銘柄を含んでおり、株価上昇の期待ができます。また、配当金は利回りは高くないですが、毎年増配しており安定的に配当を受け取れます。このようにVIGはキャピタルゲインとインカムゲインの両方のバランスが取れたETFになっています。
歴史がある
VIGの設定日は2006年4月21日です。2024年でおよそ18年の歴史があります。歴史が長いということはそれだけ実績があることになります。SYPDは2024年で9年目ですがVIGは18年目で、SPYDの倍の歴史を持っています。
低コスト
VIGの経費率は0.06%と低コストです。例えば、100万円分のVYMを保有した場合、年間で600円の経費しかかかりません。
VIGのデメリット
- 高配当投資に向いていない
- 為替リスクがある
- 日本の配当よりも多く課税される
高配当投資に向いていない
直近5年間の平均配当利回りは1.746%で高配当利回りではありません。目的が高配当投資の方には向いていないETFです。高配当投資であればVYM・HDV・SPYDへ投資する方が適しています。
為替リスクがある
VIGはドルで売買します。日本では円で生活しているため、円⇔ドルの取引が必要になり、為替リスクがあります。
円高になると、日本円で受け取れる配当額が減ります。例えば、配当金を100ドル受け取る場合を考えます。
1ドル | 配当額(円) |
---|---|
161.51 | 16151円 |
146.39 | 14639円 |
100ドルの配当金を受け取る際、1ドル161.51円では16151円ですが、1ドル146.39円では14639円です。この2つの差分は1512円と10%も受け取れる配当額が変化します。
日本の配当よりも多く課税される
日本株と比べて米国株の配当は税制面で不利です。米国株の配当金を受け取る際は2回課税されます。
- 配当金に対して、米国で10%が課税されます
- 1で差し引かれた後の金額に対して、日本で20.315%(所得税15.315%・住民税5%)が課税されます
合計すると、配当金に対して28.2835%が課税されます。
VIGのおすすめの購入タイミング
VIGのおすすめの購入タイミングは2020年のコロナショックのような世界的な株価暴落時です。この理由をコロナショック時の配当利回りを用いて説明します。
VIGのコロナショック時の配当利回りは?
コロナショックが起きた2020年のVIGの株価の最安値は$87.71で、この時の配当利回りは2.619%です。この時に購入しそのまま保有していた場合、2023年の配当利回りは3.658%になっています。この配当利回りであれば高配当投資目的として購入してもよいかなと思います。
まとめ
結論は、VIGで配当金生活は不可能です。
VIGは配当利回りが低く高配当投資に向いていません。配当金生活には別の米国高配当ETFの購入が向いています。配当目当ての投資先としては向いていないだけでVIGは悪いETFではありません。キャピタルゲインとインカムゲインのバランスが取れたリターンの高いETFです。配当目的とは別に購入を検討する余地は十分にあります。
VIGは配当金生活には向いていないETFだと分かったワン!