本記事では、米国高配当ETFとして有名なHDVの基本情報・株価・配当情報・特徴・おすすめの購入タイミングを紹介します。そして、HDVが配当金生活の投資先として向いているのかどうかを説明します。
HDVの特徴って何だろう?
基本情報
HDVの基本情報を次の表にまとめました。
名称 | iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF |
概要 | 配当水準が比較的高位の米国株式で構成される指数と同等の投資成果を目指している |
株価(2024年10月21日時点) | $119.36 |
配当額(2023年実績) | $3.893 |
配当利回り(※1) | 3.820% |
構成銘柄数 | 75銘柄 |
コアセクター | エネルギー・生活必需品・ヘルスケア |
経費率 | 0.08% |
設定日 | 2011/03/31 |
HDVはどのようなETFなのか?
HDVの名称は「iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF」といい、配当水準が比較的高位の米国株式で構成される指数と同等の投資成果を目指しているETFです。つまり、米国株式で財務が健全で配当利回りが高い75銘柄に投資しています。
株価は1株119.36ドル(2024年10月21日時点)です。日本円にすると1株およそ17,785円(1ドル=149円で計算)で1株価格はやや高めです。配当額は3.893ドルで、配当利回りは3.820%(2023年実績)で比較的高い配当利回りです。
コアセクターは比率の上位からエネルギー・生活必需品・ヘルスケアです。
生活必需品・ヘルスケアはディフェンシブなセクターであり、安定した業績や配当が期待できます。
株価情報
HDVの株価の情報を紹介します。HDVの設定日から2024年10月までの株価のチャートの紹介やHDVとSPYDの株価上昇率を比較します。
HDVの株価は上昇しているのか?
次のチャートはETFが設定された2011年から2024年までのHDVの株価のチャートです。
HDVの株価は2011年から2020年までは継続して右肩上がりで上昇していました。しかし、2020年のコロナショックで株価は27%近く下落しました。その後、およそ2年かけて暴落前の株価に戻しています。米国金利の影響で株価が上下しましたが、2024年現在の株価は119ドルで暴落前の株価を大きくこえています。
HDVはSPYDと比べて株価上昇率が勝っているのか?
次のチャートは2015年から2024年までのHDVの株価騰落率とSPYDの株価騰落率のチャートです。青色の線がHDVの騰落率で、赤色の線がSPYDの騰落率です。
HDVが+58.68%に対しSPYDが+53.37%で若干HDVが勝っていますがほとんど同じ騰落率です。しかし、2020年のコロナショック時の暴落はHDVの方がSPYDより株価の下落率が低いです。これは、HDVがSPYDよりディフェンシブなセクターの銘柄へ投資しているためと考えられます。
株価は大体同じ動きをしているが下落時はSPYDの方が下げ幅が大きいワン!
配当情報
HDVの直近5年間の配当はいくらか?増配しているか?
HDVの直近5年間(2019年~2023年)の配当額と前年比較の増配率をまとめました。
年 | 配当額 | 増配率 |
---|---|---|
2019 | $3.209 | 3.683% |
2020 | $3.568 | 11.187% |
2021 | $3.508 | -1.682% |
2022 | $3.716 | 5.929% |
2023 | $3.893 | 4.763% |
2021年は減配していますが基本的に毎年増配しています。2019年から2023年の4年間でおよそ21%増配しており、まずまずの増配率です。今後も同様に安定して増配するかどうかはわかりませんが、財務健全性が高く業績が安定した企業に投資しているため、長期に渡って大幅に減配することは考えにくいのではないでしょうか。
HDVの直近5年間の配当利回りはどれくらいか?
HDVの直近5年間(2019年~2023年)の配当利回りです。配当利回りは配当額をその年の終値で割って算出しています。
年 | 配当利回り |
---|---|
2019 | 3.282% |
2020 | 4.070% |
2021 | 3.474% |
2022 | 3.565% |
2023 | 3.810% |
直近5年間の配当利回りは3.282%~4.070%の範囲で推移しており、この期間の平均の配当利回りは3.639%です。2020年はコロナショックで株価が下落したため配当利回りが上昇し4%を超えています。
HDVのメリット
- 安定して高利回りの配当金を受け取れる
- 増配が期待できる
- 低コスト
安定して高利回りの配当金を受け取れる
配当額は安定的で増配傾向です。配当利回りの平均は3.639%でやや高い配当利回りで、増配により年々購入株価に対する配当利回りの増加が期待できます。
増配が期待できる
次のグラフは、2012年から2023年のHDVの配当額推移です。
2016年や2021年は減配していますがそれ以外の年は増配しています。HDVの平均増配率は約6%で、今後も増配を期待できそうです。
SPYDの平均増配率は約3.5%だワン!
低コスト
HDVの経費率は0.08%と低コストです。例えば、100万円分のHDVを保有した場合年間で800円の経費しかかかりません。
HDVのデメリット
- 景気によって業績が左右されるセクターが含まれている
- 成長性は望めない
- 為替リスクがある
- 日本の配当よりも多く課税される
景気によって業績が左右されるセクターが含まれている
HDVはディフェンシブなセクタが多く含まれており業績が安定していると紹介しましたが、景気動向に業績が左右されるセクタも含まれています。次のグラフはHDVの構成銘柄セクターの割合です(2024年8月29日時点)。
上位のトップ5の内、1位のエネルギーと4位の公益事業は景気動向によって業績が左右されるセクターです。この2つのセクター割合の合計は36.22%で2つだけで全体の約1/3を占めています。このように景気動向によって業績が左右されるセクターも含まれていることに注意が必要です。
成長性は望めない
HDVの配当額は長期的に右肩上がりで株価も緩やかに上昇しています。しかし、米国経済をけん引しているGAFAMのような成長性は望めず、キャピタルゲインは期待しないほうがいいでしょう。
為替リスクがある
HDVはドルで売買します。日本では円で生活しているため、円⇔ドルの取引が必要になり、為替リスクがあります。
円高になると、日本円で受け取れる配当額が減ります。例えば、配当金を100ドル受け取る場合を考えます。
1ドル | 配当額(円) |
---|---|
161.51 | 16151円 |
146.39 | 14639円 |
100ドルの配当金を受け取る際、1ドル161.51円では16151円ですが、1ドル146.39円では14639円です。この2つの差分は1512円と10%も受け取れる配当額が変化します。
日本の配当よりも多く課税される
日本株と比べて米国株の配当は税制面で不利です。米国株の配当金を受け取る際は2回課税されます。
- 配当金に対して、米国で10%が課税されます
- 1で差し引かれた後の金額に対して、日本で20.315%(所得税15.315%・住民税5%)が課税されます
合計すると、配当金に対して28.2835%が課税されます。
HDVのおすすめの購入タイミング
HDVのおすすめの購入タイミングは投資資金が余ったときにコツコツ、暴落時に買い増しです。この理由をHDVとVYMの増配率を比較しながら説明します。
HDVとVYMの直近5年の増配率の比較
次の表はHDVとVYMの直近5年の増配率をまとめたものです。同じ年で増配率が高い方の数値を赤字にしています。
年 | HDVの増配率 | VYMの増配率 |
---|---|---|
2019 | 3.683% | 7.270% |
2020 | 11.187% | 2.263% |
2021 | -1.682% | 6.538% |
2022 | 5.929% | 5.029% |
2023 | 4.763% | 6.956% |
HDVの増配率の方がVYMより高い年は2020年と2022年の2回あります。他の年は2021年は減配していますが、2019年と2023年はしっかり増配しています。この期間の平均増配率はHDVが4.776%、VYMが5.611%です。VYMには及びませんが、HDVも毎年配当金は十分に増配しています。そのため、暴落を待たずに投資しても大きく損をすることはないと考えます。なので、投資資金が余った時に購入しつつ、暴落のタイミングで大きく追加で購入することをおすすめします。
まとめ
結論は、HDVで配当金生活は可能です。
財務健全性が高く業績の安定した企業に投資しているため安定的に配当金を受け取れることを期待できます。配当利回りは3.5%程度ですが、毎年増配しているため長期保有すれば問題ないでしょう。株価や配当金が安定して上昇しており、普段からコツコツ投資しつつ暴落時に追加投資することをおすすめします。
HDVは安定して配当金を受け取れることがわかったワン!